はじめての、イベント参加(改訂版) ~第五編・同人イベント編~

この記事は、何らかのイベントへ当アカウントの中の人が参加する際、個人的に定めていた基準をいくらか汎用的な内容に再編して、公開したものです。
興味が有るイベントに、参加してみませんか??

1.概要

1-1.記事の構成について

全ての事項を一度に書こうとすると大変な文章量になってしまって、読み辛くなってしまう事がわかりきっているので、以下の通り、合計で八編に分けて公開します。

第一編・概要
第二編・事前準備編
第三編・チケット入手編
第四編・イベント物販対策編
第五編・同人イベント編←現在開いているのは、この記事です。
第六編・荷物運搬対策編
第七編・イベント直前編
第八編・イベント当日編

1-2.はじめに

この記事は、商業イベント(一般の企業が企画・開催するイベント)と、同人イベント(個人または運営準備会などが企画・開催するイベント)の両方へ対応できるよう記述した為、一部に分かりにくい記述が有るかもしれません。

質問したい場合は申し訳ありませんが、当アカウントの中の人のSNSアカウントへDM、またはメールにてお問い合わせ下さい。

1-3.知っておいて欲しい事

この記事には「注意事項」が出てきます。記載した事項について誤解しないで欲しいのは、「悪い事をやってはいけない」という単純な理由だけで書いた訳ではない事です。

禁止されている事を実行すると・・・

  • イベントの主催者(以下、主催者と記載)側がトラブル対処の手間を減らす為、規制だらけにする(参加者が柔軟に楽しむ事が出来なくなる)
  • 施設運営者が会場を貸す事を拒否して、イベントが開催出来ない
  • 公共交通機関側から輸送面で協力を得られず、イベントが開催出来ない

という事態に発展する為です。

実際に、某界隈でマナー悪化を理由として「全国ライブツアーの中止」という衝撃的な出来事も発生しました。このような事態を避ける為には、各自が注意するほか無い事を肝に銘じましょう。

なお、注意事項はどこでも見かける一般的な事項が大半ですが、中にはイベントごとに異なる事項も有ります。

一例を挙げると、ペンライトは大別して持ち込めない場合と持ち込める場合に分かれます。さらに持ち込めても、使用可能な製品の制限(主催者公式の物のみなのか主催者公式と市販品のどちらでも良いのか、電池式でも乾電池なのかボタン電池なのか、など)が有ります。

ペンライトは使用時の制限にも違いが有り、一般的には手に持ってよいのは1本だけですが、中にはペンライトの大きさに通常よりも厳しい制限を課す代わりに、手に複数本持ってよいという、変わった規制のイベントも有ります。

ですので、注意事項は隅々までしっかりと読み込みましょう。

5.同人イベント~はじめての一般参加~

5-1.全員が「参加者」である

どのような同人イベントでも共通であり忘れてはならないのは、全員が「参加者」であるという視点でしょう。

規模が大きいほど忘れがちですが、同人イベントは仲間内で行う集まりだと考えてみてください。仲間の集まりとすれば、「運営」や「店舗」、「利用客」と分類する事は不自然で、全員が平等な参加者だと言える訳です。

ただ単純に参加者と呼ぶと、区別が必要な場面(例えば、主催者が発表した注意事項を読むとき)で混乱が生じますので、以下の様な区別は存在します。

  • 同人イベントへ出展して作品を頒布する側の「サークル参加者」または「委託参加者」
  • 主催者側で会場の設営や撤収、場内整理などを行う「スタッフ参加者」
  • サークル参加者が頒布している作品を入手するだけの「一般参加者」

さきほど記載したように店舗や利用客という分類では無いですから、サークルの作品は「販売物」ではなく「頒布物(読み方:はんぷぶつ)」などと呼びます。同人イベントは、SNSなどで知り合った人とオフライン(現実)で交流する場所にもなっています。

5-2.サークルの一覧を確認

行ってみたい同人イベントが有るならば、サークルの一覧が掲載された主催者の公式ウェブサイトやパンフレット(カタログ)を読んでみましょう。パンフレット(カタログ)は「3-1-6.そのほか」の通り、書店で入手するかオンラインカタログを参照します。

パンフレット(カタログ)では、注意事項の他にも頒布物の傾向が分かったりしますので、一通り目を通しておくと良いでしょう。パンフレット(カタログ)ではサークルカットのみで頒布物に関する詳しい案内が無い時も有るので、その場合はサークルの公式ウェブサイトや公式SNSアカウントなどを参照すると、もしかしたら案内が書いてあるかもしれません。

5-3.サークルのスペース配置番号の読み方

既に頒布物を入手してみたいサークルが居るのであれば、サークルの公式ウェブサイトや公式SNSアカウントなどで、出展日やスペース(主催者がサークル参加者に用意する
机や椅子の場所の事)、サークル名を確認して自分用の一覧表や会場内の地図を作っておくと、同人イベント当日に会場内で迷わずに済みます。

各サークルのスペースは会場内に設置された机に沿って配置されていますが、この配置場所を表しているのがスペース配置番号(スペースナンバー)と呼ばれているもので、配置番号は、ホール名・ブロック・番号・aやbの4要素で構成されている事が多いようです。

  • 「ホール名」は会場が別棟だったり、同じ棟でも複数の部屋に跨っているような場合に、それを区別する要素です。
  • 「ブロック」は会場内に並んでいる机のうち、どの列の机なのかを区別する要素です。
  • 「番号」は同じ列の机の中で、始点となるスペースから何番目のスペースなのかを区別する要素です。
  • 「aやb」は、本来は一つ分のスペースを半分に分割したスペースに出てくる記号で、番号の後ろに付属します。例:ぬ98a、ぬ98b

「ホール名」は、よほど大きいイベントでなければ省略されていると思われます。

5-4.会場への到着時刻

3-5.店舗申込の補足事項」でも「徹夜で待機」や店舗側が認めていない時間帯に待機列へ並ぶ事は絶対に行ってはならない事を書きましたが、同人イベントの場合、徹夜で待機した人に対するペナルティとして、会場へ入場できるのが始発列車で来た人より後回しになる事が有ります。駅で待機して始発列車から降りてきたのを装っても、何故かバレて後回しにされたりしますので、無駄な抵抗は止めましょう。

なお多くの同人イベントでは、開場から昼頃までは混雑が激しい時間帯になっている場合が多いようです。慣れないうちや、夏季のように気温が高いときは、昼過ぎから会場へ入場するのも良いでしょう。

5-5.サークルでの支払方法について

会場内でサークルの頒布物を入手する時、クラシックPCや電子基板、プログラムを扱うようなサークルでは電子マネーQRやバーコードを用いたコード決済も活用している場合が有るものの、多くは現金でのみ支払いが可能です。

現金でのやり取りですのでサークル側は釣銭の用意もしているものの、やはり足りなくなる事が有りますから、頒布価格ちょうどの硬貨や紙幣を準備するよう心がけましょう。

どのくらいの金額になりそうか予想できないなら、特に100円玉、500円玉、1,000円札は多めに準備すると現地でお互いに困りません。ただし、イベント終了時刻に近い場合はサークル側も細かい硬貨や紙幣を高額紙幣と交換したい場合も有るので、高額紙幣で支払いをしても良いか質問してみても良いでしょう。

頒布物の値段は大抵の場合、同人誌は数百円から1,000円、同人ハードウェアや同人ソフトウェアと呼ばれるものなら数百円から数万円まで様々だと思われます。

5-6.入手した頒布物の持ち運び方法

サークルから頒布物を入手した時、いわゆるレジ袋は貰えないと考えてください。サークルの頒布物に関する案内を元に、物理的な寸法及び重量を考慮して持ち運ぶためのバッグや紙袋を用意しましょう。同人誌はB5サイズが多いですが、中にはA4サイズも有りますので、これに合わせてクリアファイルやクリアケースを用意します。

なおサークルによっては持ち運び用の紙袋も頒布している事が有りますが、屋外では悪目立ちしないように予め用意したバッグや紙袋を使うことをおすすめします。

5-7.頒布物が残っているのかの情報

人気のあるサークルは、同人イベントが終了時刻を迎える前に頒布物が全て無くなってしまう事が有ります。サークル参加者自身やサークルの公式SNSアカウントが有る場合はそちらで告知したりしますので、同人イベントの開始時刻を過ぎたらこまめに情報を確認しておくと、待機列に留まるか離脱するのかの判断を行いやすくなります。

5-8.頒布物を誰かと交換したい、手分けして入手したい

3-8.どうしてもチケットを入手出来なかったら」から「3-8-2.チケットを受け渡す方法」までを参考に、協力してくれる参加者を探してみると良いでしょう。

5-9.サークル参加する

大した経験は有りませんが、参考程度のメモ書きを書いておきます。サークル参加する場合、事前に一般参加するか当日のレポートを読むと会場内の雰囲気、サークルスペースの構成方法などを参考に出来ます。なお、当アカウントの中の人がサークル参加した経験が有るのは、以下の同人イベントです。

mi68.artstage.net

www.youtube.com

retroexp.com

5-9-1.申込時の注意事項

同人イベントへ参加する為に主催者へ参加申込する際は、注意事項を熟読するのは当然ながら、書類等は誤字脱字や記入ミスなく記入しましょう。サークルカットも画像サイズや解像度、モノクロやカラーなどの指定を守りましょう。冒頭でも記載しましたが、同人イベントは全員が対等な参加者です。「誰にも迷惑をかけない」を目標にしましょう。

主催者から協議事項が来たら必ず返答しましょう。「どうすれば良いか?」という質問が来たら「どうしましょう?」とオウム返しするのではなく、具体的に「このようにして欲しい」など、問題が無ければ「問題ありません」と返答しましょう。何も返答しないと、主催者には連絡が届いたのかそうでないのか、問題が有るのか無いのか、判別できません。

主催者へ要望を伝える事は問題ないですが、自分の都合のみ優先して文句だけ言うのは無意味なのでやめましょう。日程や場所、予算などを伝えて調整したいと要望を伝える方が建設的です。

冒頭で「サークル参加者」と「委託参加者」が出てきましたが、サークル参加者は同人イベントの会場へ直接参加、委託参加者とはほかのサークル参加者に協力してもらって、自分の頒布物を頒布する方法です。

会場へ頒布物を搬入する方法の違いにより、申込内容が変わる事が有ります。頒布物を直接、自宅から会場までカバンへ入れて持っていくような場合はそこまで気にしなくて大丈夫ですが、以下のような手段を用いる場合は何らかの申請が必要な場合も有りますので、主催者の注意事項を確認しましょう。

  • 直接搬入(同人誌を印刷所から直に搬入)
  • 宅配搬入(頒布物を自宅から指定された場所へ、宅配便で送って搬入)
  • 同人イベント当日にカートなどを使って搬入
5-9-2.頒布物の制作など

頒布物は、主催者の注意事項を守って制作しましょう。同人イベント当日に頒布できなくなって一番悲しむのは、自分です。

頒布物の制作と共に、告知もすると良いでしょう。サークルカット、スペース配置番号、当日の頒布物の案内を、ウェブサイトやSNSへ投稿しましょう。

5-9-3.同人イベント当日

何かトラブル(体調不良、急な仕事で行けなくなった等)が起きたら、まずは主催者へ分かった時点で明確に連絡しましょう。単にSNSへ書き込むのは連絡とは言いません。

入場証、頒布物、釣銭は忘れないように持っていきましょう。釣銭は値段が100円単位なら100円玉、500円玉、1,000円札を、500円単位なら500円玉、1,000円札をそれぞれ10~20枚程度用意すると良いのでは無いでしょうか。5,000円札も2枚程度あると万全です。

そのほか、スペースの机に敷く布、POP(頒布物の案内、値札、スペース配置番号等)や、見本を立体的に配置して飾る為の棚やワイヤーネットなども持っていくと良いかもしれません。ポスターなどを壁や窓ガラスに貼り付ける行為は禁止されていることがあるので、注意事項を確認するか主催者へ可否を問い合わせましょう。

棚などを使って見本を立体的に配置する時は、主催者の注意事項を確認して制限に収まるようにしましょう。具体的な記載が見当たらないなら、近隣のスペースに迷惑をかけない様な計画案を事前に練って、これも判断に迷ったら主催者に問い合わせます。

また同人イベント当日、近隣のスペースに影響がないか最終確認して微調整しましょう。

開場前に準備が整い、隣のスペースのサークルも準備が終わっているようならば、一言挨拶しておきましょう。それをきっかけに仲良くなることもあるので、オススメです。


コラム:二次創作について

俗に二次創作などと呼ばれる物は、厳密には法令に抵触している可能性が高い事、それを踏まえ、二次創作で制作する同人誌やグッズは、個人で楽しむ範囲(権利保持者の利益を損なわない範囲)を超えなければ権利保持者から黙認して貰える可能性が高い、という事を忘れてはいけません。

安易に公式ロゴを流用・印刷、または原著作者が制作したイラスト(いわゆる版権絵)をそのままトレースして印刷しただけのグッズを頒布する行為は、やっては行けない主たる例です。

例え、個人で楽しむ範囲として容認されそうなグッズを制作する場合でも、「商業的な販売」と捉えられる行為を行うと、権利保持者(一次制作者)より正式に抗議されてしまうでしょう。

なお、原著作者の許諾を得ていない二次創作でも、オリジナリティがある部分については二次的著作権が成立し得る、という判例が有ります。判決文は知的財産高等裁判所 令和2年(ネ)第10018号を確認してください。


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